痛みの種類と痛みの表現「オノマトペ」(2024.11.30)

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痛みのオノマトペ

痛みを言葉で表現する

実は「痛い」と一言で言っても、その”痛みの質”(痛み方・痛みの出方)によって対処が異なって来ます。例えば西洋医学では「痛い」と言えば「痛み止め処方」と言う流れになりますが、その効かせ方によって薬を選ぶ種類が異なって来る。神経性なのか、それとも炎症性なのかで薬の成分が違ってきます。神経性の痛みに対して炎症を抑える薬を出しても効果が薄いということもあります。

東洋医学では「痛み」を10種類に分類してその対処法(ツボの選び方)を考えます。しかし、その10種類を区別して答えてもらうには無理がある。患者さんの主観的な部分でもあり、色々な表現の仕方で伝えてくる方もいらっしゃいます。でも、単に「痛い」という一言で伝えられるより、主観的でも良いのでその「質」を表現してもらえると、私らとしては非常に助かります。私が病院でレントゲンを撮っていた時のこと。腰痛の患者さんでしたが、「腰がね爆発したんです!もう横から火花が見えるくらい!もう詰まってきて一気にバーンと」と言う表現をされた方がいました。「腰が爆発??」と最初は想像つかなかったのですが、いざ自分の腰が壊れた時、そう表現した意味が分かりました。

今回は、ちょっと「健康」とは内容が異なりますが、その痛みの表現の仕方の一例と、そう表現された時に、鍼灸師として何を考えるか、医師は同考えるのかという事に触れます。

その10種類とは、①脹痛(脹痛)・②刺痛(しつう)・③冷痛(れいつう)・④重痛(じゅうつう)・⑤絞痛(こうつう)・⑥灼痛(しゃくつう)・⑦隠痛(いんつう)・⑧酸痛(さんつう)・⑨掣痛(せいつう)・⑩空痛(くうつう)に分けて考えています。

これらの違いや原因を「オノマトペ」等も用いて表現すると、
オノマトペ:擬音語と擬態語の総称

①脹痛:脹った感じ、膨満感を伴う痛み→気の滞り

②刺痛:針で刺されるような鋭い痛み「チクチク」「キリキリ」→血の滞り(瘀血)

③冷痛:温めると軽減、冷やすとさらに痛く感じる→寒証・陽虚・寒邪による

④重痛:おもだるさ(頭部・四肢・腰部に多い)「ギシギシ」→湿邪

⑤絞痛:しぼるような締め付けられるような痛み。頭痛だと「ズキズキ」→瘀血など

⑥灼痛:冷やすと軽減、温めるとさらに痛く感じる→熱証

⑦隠痛:シクシクとずっと続くような痛み。痛いような痛くないような→気血の不足、虚証

⑧酸痛:だるい痛み→気血不足、湿邪

⑨掣痛:引っ張られるような痛み。つったような痛み→肝血の不足

⑩空痛:空虚感のある局所の痛み。押さえると軽減。→腎精不足、気血不足

と言った感じになります。一方西洋医学的には、神経性の痛みか炎症性の痛みかが重要になりますので、以下のようになります。

●ガンガン・ズキズキ・ズキンズキン・ウズウズ・キリキリ→炎症による痛み

●ピリピリ・ズキズキ・ジンジン・ジーン→神経による痛み

これらの表現は、把握しにくい患者さんの痛みを的確な診断につなげるツールでもあるし(痛む部位によっても選ばれる言葉は違ってくると思います)、オノマトペはドクターや施術者に容易に使える痛みの共通言語として非常に重要な役割を担っています。

なかなか自身の痛みを言葉で表現するという事も慣れていないと難しいと感じますが、「こういう言葉がある」と言うを事を知っているだけでも違ってくるし、表現しやすくなると思い書いてみました。

鍼灸指圧マッサージでは「問診で施術方針が7割決まる」と言われています。残り3割は、望診(色味など)・聞診(匂いなど)・切診(脈やツボの圧痛)でその問診から立てた治療方針で良いかの確認になります。勿論、問診の内容と他が一致しないと言う事もあり、その場合は方針を立てなおしたり、一致しない原因を探ります。是非、「オノマトペ」活用してみてください。

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