ホシッパ・健康コラム

~目次~

【季節養生:梅雨】

2023.06.11
6/11東北地方も梅雨入りの発表がありました。この時期に入ると体調が崩れやすくなる方、また浮腫みや湿疹が出やすい方、胃腸を崩しやすい方、6月は対策を始めていく時期となってきています。これは「湿邪」の影響。食生活面では甘味(白砂糖)は控えめに。そして、脾胃の消化機能を大切にして”水捌け”を良くしていきましょう。また、夏至は「陽が極まって陰に転じる日」と言われ、陰陽のバランスが極端に偏る(陽が限界を超えちゃう或いは陰が限界を超えちゃう)と「死」とされます。
なもんで、この時期は危なっかしい時期(不安定な時期)とされます。

消化機能のセルフチェックは便の状態、尿の色、食欲(食べるかどうかではなく食べて満足感が得られるかどうか)、胃の痛み、お腹を触った時に冷たく感じるかどうか、などでみます。東洋医学で胃は”ぐつぐつ煮込む鍋”に例えられます。煮込んだものから、脾の機能を使って栄養素を引っ張り出します。もし、煮だっている鍋に冷たい水を入れるとどうなるか・・・。煮込みが止まります。それは「消化」できなくなることを意味します。胃と脾は連携して消化を行うとされますが、どちらの機能が劣っても不調を招きやすくなります。

ちなみに脾の機能が弱ると、グツグツ煮込んだものから栄養素を引っ張って来れなくなるので、その栄養素を使って作られる「精」も不足になりがちに。精は血や気の原材料となります。

セルフケアとしてお灸は大変有効です。
梅雨の時期は「陰陵泉」というツボがおススメです。このツボは脾に働きかけます。

不調があった場合、治療の目安は入梅前に月2回ほど、梅雨期間中は月に3~4回(ぴりかコース+プラスメンテぴりか)。改善傾向に入ったら、梅雨明けまで2週に1度ペース且つ夏を迎える準備を施していきます。鍼とお灸でデトックスを促進、そしてマッサージで浮腫みを取っていきます。湿邪は陰の性質を持つ邪気。身体の下に向かう性質があるので、脚の浮腫みや腰・膝に鈍い痛み(辛さ)が出るようになります。

【お灸を使って免疫システムを活性化】

(2023.6.27)
5類に移行されたと言っても、法的(感染症法)での分類が変わっただけで病原体自体が変わったわけではない事は意識しておきましょう。また、「5類=軽い」と言う認識のままであれば後に後悔する事態にもなりかねません。あの分類は、ざっくり現すと症状が「軽い・重い」ではなく、質(たち)が悪いかどうかです。ちなみに、1~5は一般的に全て質が悪いもので、その中で分類されているもの、と捉えておきましょう。
全て掛からないに越したことはないものです。

日本のお灸が海外で感染症対策に使われていることは、以前送信したLINEメッセージでも触れました。その海外とはアフリカで、結核(日本では2類です)の補完治療として活用されています。しかも、当院の治療でも行っている「捻りのお灸」です。アフリカでは有効なワクチンの購入もままならず、民間にも行き届かない状況。そこで、注目されたのが日本の伝統的なお灸で、安価であり効果が立証されています。据える場所はやはり「足三里」。しかも現地の多くの方が、「捻りのお灸」を学びご自身で据えられていると聞きました。
向こうとは衛生環境も違えば、食文化から医療レベルまで日本とは全然違います。その地域差のある中で「有効」と認められた事は非常に意味のある事だと思います。
当院の治療でも足三里への捻りのお灸は必要な方や希望される方には施しています。
そして、出来れば台座灸で良いので一日1回足三里へのお灸を据えて、免疫システム(私は敢えて”免疫力”とは表現していません)を整えておくことをお勧めします。予防(予防策は色々あります)を講じなければ隙を狙って来るのが感染症と言う病です。東洋医学(中医学)では「疫」と言います。

ウィルス(非生物)、細菌(生物)によって何かしらの症状が出てくるものを感染症と言います。
また、とあるウィルスによって免疫システム自体が破壊され、普段生活しているうえで問題にならないような細菌やウィルスに感染(日和見感染)してしまい、命に関わるような症状を引き起こす事もあります。この「普段生活しているうえで問題にならないような」と言う部分は勘違いされやすい部分ですが、「問題にならないようになっている」のは、病原体側では無く、自分の持つ免疫システムが黙って対処してくれていると言う事になります。あるいは、自分の免疫システムでは対処しにくいものに関しては、予防策を知っているか否かです。その代表例となるのが性行為感染症ですね。また自分の免疫システム自体を破壊してしまう代表例としてはHIVが挙げられます。また、免疫システムの主役とも言える白血球に異常をきたしてしまう血液のガン(白血病)もそうです。性行為感染症に関しては後の機会に書く予定です。

私が腰を痛めたのも細菌が原因です。しかも、誰しもの皮膚に存在する(普段皮膚上では自分に悪さしない)細菌が体内に入り発病し、腰骨の化膿に至っています。確かに、その時の自分は相当疲れていました。免疫システムは自律神経の影響を受けます。特に副交感神経側に依存します。

そして、この免疫システムは発動の仕組みの違いはありますが「アレルギー症状」とも関連があります。更に、この免疫システムが”暴走”した場合、自分自身の細胞を「敵」とみなし攻撃してしまう事もあります(例:毛根を敵とみなし破壊してしまう円形脱毛症など)。

お灸は一つの予防策としてお勧めですし、また疲労もキャパオーバーにならないうちに、鍼灸あん摩マッサージや他のリラクゼーションで解消していく事も大切です。

【痛みの表現”オノマトペ”:痛みの分類】

(2023.9.15)
実は「痛い」と一言で言っても、その”痛みの質”(痛み方・痛みの出方)によって対処が異なって来ます。例えば西洋医学では「痛い」と言えば「痛み止め処方」と言う流れになりますが、その効かせ方によって薬を選ぶ種類が異なって来る。神経性なのか、それとも炎症性なのかで薬の成分が違ってきます。神経性の痛みに対して炎症を抑える薬を出しても効果が薄いということもあります。

東洋医学では「痛み」を10種類に分類してその対処法(ツボの選び方)を考えます。しかし、その10種類を区別して答えてもらうには無理がある。患者さんの主観的な部分でもあり、色々な表現の仕方で伝えてくる方もいらっしゃいます。でも、単に「痛い」という一言で伝えられるより、主観的でも良いのでその「質」を表現してもらえると、私らとしては非常に助かります。私が病院でレントゲンを撮っていた時のこと。腰痛の患者さんでしたが、「腰がね爆発したんです!もう横から火花が見えるくらい!もう詰まってきて一気にバーンと」と言う表現をされた方がいました。「腰が爆発??」と最初は想像つかなかったのですが、いざ自分の腰が壊れた時、そう表現した意味が分かりました。

今回は、ちょっと「健康」とは内容が異なりますが、その痛みの表現の仕方の一例と、そう表現された時に、鍼灸師として何を考えるか、医師は同考えるのかという事に触れます。

その10種類とは、①脹痛(脹痛)・②刺痛(しつう)・③冷痛(れいつう)・④重痛(じゅうつう)・⑤絞痛(こうつう)・⑥灼痛(しゃくつう)・⑦隠痛(いんつう)・⑧酸痛(さんつう)・⑨掣痛(せいつう)・⑩空痛(くうつう)に分けて考えています。

これらの違いや原因を「オノマトペ」等も用いて表現すると、
オノマトペ:擬音語と擬態語の総称

①脹痛:脹った感じ、膨満感を伴う痛み→気の滞り

②刺痛:針で刺されるような鋭い痛み「チクチク」「キリキリ」→血の滞り(瘀血)

③冷痛:温めると軽減、冷やすと増悪→寒証・陽虚・寒邪による

④重痛:おもだるさ(頭部・四肢・腰部に多い)「ギシギシ」→湿邪

⑤絞痛:しぼるような締め付けられるような痛み。頭痛だと「ズキズキ」→瘀血など

⑥灼痛:冷やすと軽減、温めると増悪→熱証

⑦隠痛:シクシクと持続的な痛み。痛いような痛くないような→気血の不足、虚証

⑧酸痛:だるい痛み→気血不足、湿邪

⑨掣痛:引っ張られるような痛み。つったような痛み→肝血の不足

⑩空痛:空虚感のある局所の痛み。押さえると軽減。→腎精不足、気血不足

と言った感じになります。一方西洋医学的には、神経性の痛みか炎症性の痛みかが重要になりますので、以下のようになります。

●ガンガン・ズキズキ・ズキンズキン・ウズウズ・キリキリ→炎症による痛み

●ピリピリ・ズキズキ・ジンジン・ジーン→神経による痛み

これらの表現は、把握しにくい患者さんの痛みを的確な診断につなげるツールでもあるし(痛む部位によっても選ばれる言葉は違ってくると思います)、オノマトペはドクターや施術者に容易に使える痛みの共通言語として非常に重要な役割を担っています。

なかなか自身の痛みを言葉で表現するという事も慣れていないと難しいと感じますが、「こういう言葉がある」と言うを事を知っているだけでも違ってくるし、表現しやすくなると思い書いてみました。

鍼灸指圧マッサージでは「問診で施術方針が7割決まる」と言われています。残り3割は、望診(色味など)・聞診(匂いなど)・切診(脈やツボの圧痛)でその問診から立てた治療方針で良いかの確認になります。勿論、問診の内容と他が一致しないと言う事もあり、その場合は方針を立てなおしたり、一致しない原因を探ります。是非、「オノマトペ」活用してみてください。

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